税金基礎知識 その7
譲渡所得の特例
土地、建物や株式を売ったときは、他の所得と分離して税金を計算します。
[1]株式を売ったとき
株式を売ったときの譲渡所得は、次のように計算します。
譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)
譲渡収入=株式の売却価額
取得費=株式の購入代金など(実際の購入代金に代えて売却価額の5%とすることもできます。
譲渡費用=株式を購入するために要した借入金の利子でその売却の年中に支払うべきものや、売却のために支出した売却手数料など
譲渡益に対する税率は、上場株式等を証券会社を通じて売った場合は10%(所得税7%・住民税3%<平成20年12月31日まで>)、非上場株式等を売った場合は20%(所得税15%・住民税5%)です。
上場株式等の譲渡に係る特例
上場株式等の譲渡は、他の所得と区分して計算する申告分離課税制度となっています。
また、次のような特例が設けられています。
(1)申告不要の特定口座制度
証券会社に一定の要件を満たす特定口座を開設し、その口座内の株式等を譲渡した場合、証券会社を通じて所得税が源泉徴収または還付され、申告は不要です。
特定口座の源泉徴収税率→10%(所得税7%・住民税3%)
*この税率は平成20年12月31日まで
(2)80%概算取得費
平成13年9月以前に取得した上場株式等を譲渡した場合の取得費は、平成13年10月1日の終値の80%とすることができます。
*平成22年12月31日まで
(3)譲渡損の3年間繰越控除
上場株式等を譲渡して損失が生じその年分で控除しきれない場合、翌年以後3年間、株式に係る譲渡所得の金額から繰越控除ができます。
(4)購入価額1,000万円までの非課税
平成13年11月30日~14年12月31日までに購入した上場株式等を平成17年1月1日~19年12月31日までに証券会社等に譲渡した場合、購入価額の合計が1,000万円までに係る譲渡益は、非課税とされます。
なお、譲渡した翌年1月1日~3月15日までの間に「特定上場株式等非課税適用申告書」を税務署に提出する必要があります。
*源泉徴収を選択した特定口座で譲渡する場合は、この特例の対象にはなりませんので、いったん特定口座から株を引き出し、一般口座で売却する必要があります。
(5)特定管理株式が価値を失った場合
特定管理株式(特定口座で保管されていた内国法人の株式等に限る)が破産手続きの開始等により価値を失った場合、その取得価額は譲渡損失とみなして譲渡所得の金額を計算することができます。ただし、その損失は繰越控除できません。
*証券会社から交付を受けた「価値喪失株式に係る証明書」等の添付が必要です。
Q:自宅等で保管している株は、まだ特定口座に預け入れることが出来ますか?
A:特定口座への預け入れは平成16年12月31日でいったん打ち切られましたが、平成17年4月1日から再開され、平成21年5月31日まで預け入れできます。ただし、以前は認められていた「みなし取得価額(平成13年10月1日の終値の80%)」での預け入れはできません。実際の取得価額を証明するものが必要です。
日本税理士会連合会/編集 「やさしい税金教室19年度版」より