法人の青色申告の承認の取消
青色申告とは、確定申告の申告方法のひとつで、一定の帳簿書類を備え付けることを条件に、税務署にあらかじめ届出をしておくと、税金面で様々なメリットを受けられる制度です。
法人であれば、その年に発生した欠損金(赤字)を最長9年間繰り越し、翌年以降の所得(黒字)と相殺することができます。
ほかにも、30万円未満の資産の購入費を一度に損金算入できる「少額減価償却資産の特例」などのメリットがあります。
この青色申告の承認が取り消される場合をみてみましょう。
① 帳簿書類を提示しない場合
帳簿書類の備付け、記録・保存(帳簿書類の備付け等)とは、物理的に帳簿書類が存在することを意味するだけではなく、税務職員に提示することも含まれています。
したがって、税務調査時に税務職員から帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、その提示を拒否した場合には、青色申告の承認の取消事由に該当します。
通常、税務署からの要求は複数回に及びますが、いずれも拒否した場合は、提示がされなかった最も古い事業年度以後の事業年度について取消されます。
② 税務署長の指示に従わない場合
帳簿書類の備付け等について、税務署長の指示に従わない場合には、この指示に係る事業年度以降の事業年度について取消されます。
税務署長の指示に応じるよう説得されても、なお指示に従わない場合に承認が取消されます。
③ 隠ぺい、仮装等の場合
次のいずれかに該当する場合には、その事業年度以降の事業年度について取消されます。
a 無申告のために所得金額の決定をした場合または所得金額の更正をした場合において、更正所得金額のうち隠ぺいまたは仮装の事実に基づく所得金額(不正所得金額)が、その更正所得金額の50%を超えるとき
b 欠損金額を減額する更正をした場合において、その更正により減少した部分の欠損金額のうち隠ぺいまたは仮装の事実に基づく金額(不正欠損金額)が、当初の申告に係る欠損金額の50%を超えるとき
c 帳簿書類への記載等が不十分である等のため、推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にある場合
a、bのケースで、不正所得金額と不正欠損金額が500万円未満の場合は除きます。
④ 無申告または期限後申告の場合
2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合に取消されます。
この場合、2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、その承認が取消されます。
そもそも帳簿をつけていないといった場合や、税務署へ提出する帳簿に不備がある場合などは、当然、青色申告の承認の取消し対象となります。
青色申告の承認が取消された場合、あらゆるメリットが受けられなくなってしまいますので、該当しないように注意しましょう。