有形固定資産と無形固定資産の減価償却の取扱い
法人税法では、減価償却資産を定義し、「償却をすべきもの」、としています。
しかし、その属性が減価償却資産であっても、当該資産を事業の用に供していなければ減価償却資産に該当しないこととしています。
条文は、括弧書きで次のように規定しています。
(事業の用に供しないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く)です。
有形固定資産(土地を除く)について
そうしますと、例えば、一部の機械及び装置が生産調整のため操業を停止している場合とか、また、スキー場のリフトなど夏場に設備が停止している場合などはどうなるのかといった疑問が生じます。
条文を狭義に解せば、稼働を停止又は休止している資産は、原則、減価償却資産に当たらず、減価償却できないことになります。
しかし、課税実務(法令解釈通達)では、その稼働停止期間中に必要な維持管理等が行われている場合など、いつでも稼働できる状態に保たれているときは、減価償却資産に該当するものとして、すなわち、減価償却できるものとして取扱っています。
無形固定資産について
では、無形固定資産についても同じ取扱いかというとそうではありません。
例えば、特許権を買取ったが、これを利用して生産を開始するのは翌々事業年だとすると、法人税法の規定から言えば、特許権の減価償却は、取得した事業年度からでなく、特許権を利用して生産を開始する翌々事業年度からになります。
しかし、課税実務では、特許権などの無形固定資産の中には、その根拠となる法令においてその存続期間が定められているものについては、たとえ事業の用に供していなくても、時の経過によって減価することが明らかなので、その取得の日から減価償却することができるものとして取扱っています。
ちなみに、それぞれの根拠法令に基づく存続期間は、漁業権10年又は5年(法定耐用年数10年)、特許権20年(法定耐用年数8年)、実用新案権10年(法定耐用年数5年)、意匠権20年(法定耐用年数7年)、商標権10年(法定耐用年数10年)となっています。