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有償支給の経理処理   

有償支給とは

外注先に加工等の仕事を依頼する場合、材料等を無償で支給すると、外注先での管理が杜撰になり、材料等のロスや不良が発生しかねないということで、支給する材料等を有償で行うことを有償支給と言います。

多くの製造業で導入していると思います。

有償支給は管理目的ですから、科目としては材料や外注費のマイナス科目が一般的ですが、利益を乗せて支給することが一般的とされております。

東芝のパソコン事業部不正問題もこの有償支給を利用して行われました

概要を簡単に言うと、有償支給の部品に利益を乗せて売り上げ、完成した製品を購入して在庫として計上していました。

こうすることによって、有償支給の部品利益を多額に計上しておりました。

東芝の経理処理は以下となります

①100円の部品等の購入時

部品仕入 100    買掛金 100


②200円で有償支給した場合

売掛金 200    部品売上 200


③1,000円で製品を仕入れた時

製品仕入 1,000  買掛金 1,000


しかし製品は売れるまでは在庫ですから在庫1,000円となり、原価には算入されません。

結果として部品の仕入れと売り上げの差額100円が利益に計上されます。

本来の経理処理では

②の時点で以下となります。

売掛金 200    部品売上 200

部品売上 100   有償差益 100

③の時点では以下となります。

製品仕入 1,000  買掛金 1,000

有償差益 100   製品仕入 100

とし、在庫計上は900円となるべきでした。

なぜ利益の先食いか

製品が2,000円で売れた時、東芝の経理処理では1,000円の販売利益しか立ちませんが、本来の経理処理で行うと、1,100円の販売利益が立ちます。

その意味で利益の先食いと言われています。