定期給与を総会翌月分から増額する場合
役員給与を改定した場合の「定時同額給与」
法人税法では、法人が役員に支給した給与のうち
①定期同額給与
②事前確定同額給与
③利益連動給与
については、支給事業年度の損金算入が認められています。
このうち「定期同額給与」とは、「定期給与」(支給時期が1月以下の一定期間ごとである給与)でその事業年度の各支給時期における支給額が「同額」であるものをいいます。
なお、その額を改定した場合において、次の要件を満たすときは、改定前後の各々を「定期同額給与」として取扱います。
【要件1】その事業年度開始の日からその3月を経過する日までに「定期給与」の額が改定されていること
【要件2】次の①と②の期間内で各支給時期における支給額が「同額」であること
①事業年度開始の日~改定後の最初の支給時期の前日
②改定前の最後の支給時期の翌日~事業年度終了の日
役員給与の改定時期と支給日の関係
国税庁「役員給与に関するQ&A」Q2では、役員給与の支給が毎月末日である場合の増額のタイミングについて解説しています。
「Q&A」の事例は次のとおりです。
当社(年1回3月決算)は、定時総会を6月25日開催し、役員給与額を50万円から60万円に増額改定することを決議した。
当社の役員給与額の支給日は毎月月末となっている。
この場合、総会の翌月である7/31支給分から60万円増額支給する場合には、「定期同額給与」に該当するのでしょうか?
結論としては「定期同額給与」に該当します。
まず、役員の「職務執行期間」は、一般に総会日から翌総会日までの期間と考えられ、定時総会における役員給与の改定は新たな「職務執行期間」の給与額を定めたものとも考えられるため、7/31支給からの改定はよくあることなのです。
この場合、新給与を7/31支給分からと定めたときは、
①事業年度開始の日(4/1)~改定後の最初の支給時期の前日(7/30)
→4/30、5/31、6/30に50万円支給
②改定前の最後の支給時期の翌日(7/1)~事業年度終了の日(3/31)
→7/31、8/31…翌3/31に60万円支給
となり、【要件2】を満たすこととなるため、「定期同額給与」と認められます。