企業買収の予防策・対抗策
「雪国まいたけ」TOBにより買収される
平成27年4月、米ファンドによる雪国まいたけのTOB(株式公開買付)が成立しました。
このTOBにより米ファンドは78%の議決権を単独で獲得することとなりました。
会社法の規定では発行済株式総数の2/33以上を有する大株主は、他の少数株主から保有株式を強制的に買取ることができます。
そのため米ファンドは株主総会の特別決議を経て、上場廃止を行い、100%の完全支配を実行することが確実視されています。
今回の買収劇で大きな注目も浴びたのが取引銀行の行動です。
もともとTOB前の筆頭株主は創業者グループで資産管理会社の保有分を含めて、議決権の58%を握っていました。
ところが取引銀行がTOB直前に担保権を実行して株式の所有権を取得、その後、TOBに応じたということのようです。
有効な企業防衛戦略には何があるか
敵対的買収者から企業を防衛する戦略として次の3つのポイントがあります。
①敵対的買収者の持株数を増加させない
②敵対的買収者の議決権割合を減少させる
③敵対的買収者にとって標的会社の魅力を低下させる
これらについては、敵対的買収を仕掛けられる以前に準備するもの(平時の予防策)と、買収の標的とされた後に行うもの(有事の対抗策)があります。
具体的な予防策・対抗策
具体的な予防策と対抗策はそれぞれ次のようなものが挙げられます。
①敵対的買収者の持株数を増加させない
(予防策)株主安定化対策・自己株式取得・ゴーイングプライベートなど
(対抗策)セルフ・テンダー・オファー、ホワイトナイトのTOBなど
②敵対的買収者の議決権割合を減少させる
(予防策)第三者割当増資等、基準日変更、ポイズンピル、議決権制限株式など
(対抗策)第三者割当増資(有利発行)、ポイズンピル買収など
③敵対的買収者にとって標的会社の魅力を低下させる
(予防策)スーパーマジョリティ、取締役の定員削減と期差専任、ゴールデン・パラシュートなど
(対抗策)パックマン・ディフェンス、クラウン・ジュエルなど