許認可事業の事業承継対策
社長の平均年齢は過去最高齢の59.0歳
帝国データバンクが行った2015年全国社長分析によると、社長の平均年齢推移は一貫して上昇を続けており、2014年は59.0歳と過去最高を更新したそうです。
「自分が作り上げてきた事業を、更に育ててくれる後継者に引き継がせたい」そんな想いで事業承継に取り組んでいる社長も多くいらっしゃることと思います。
事業承継を巡っては様々な経営資源が問題の対象になりますが、本日は「許認可」に焦点を当てて考えてみます。
許認可事業は承継されるか
会社で行っている事業が何らかの「許認可」を得ている場合、その事業は預貯金や株式などの資産と違い、必ずしも次世代へ引き継がれるというわけではありません。
許認可を取得する際、「ヒト(人的要件)・モノ(物的要件)・カネ(財産的要件)」の三要件を満たすことと掲げられている場合が多く見受けられます。
このうち、もし社長自身が「ヒト」の要件を満たしその許認可を取得していると、社長が退くことで、事業そのものを維持できなくなってしまうこともあるのです。
ここでは、建設業を例に挙げます。
建設業許可の承継に必要な人的要件
建設業許可の取得では、「経営管理業務責任者(経管)」と呼ばれる経営を管理する人と、「専任技術者(専技)」と呼ばれる技術面を担う人の存在が求められます。
この二者は誰もがなれるものではなく、経管は建設業許可業者の役員として少なくとも5年以上の経験、また専技は一定の資格を取得しているか、10年以上の実務経験を積んでいるといった条件が課されています。
もし社長がこの経管と専技の役割を担っている場合、社長が引退してしまうと「ヒト」の要件を満たせず、許可の取消し事由になってしまう可能性がありますので、事業の承継をするためには、後継者としてこうした一定条件をクリアできる人員を確保していかなければなりません。
許認可事業の事業承継は早めの対策を
ご自身の経営されている事業に許認可が与えられている場合は、今一度その取得要件を確認してみましょう。
建設業許可に限らず、「ヒト」が許認可の維持に必須となっているものが多い中、このように要件を満たすまで長い年月を要するケースもありますので、長期的な対策が必要です。