試用期間を有期契約にできるか
試用期間とは
企業が正社員等を採用する場合に一定の期間の試用期間を設けていることは多くあります。
一般的な意味では採用された時従業員としての能力や適格性を評価、判断するために設けられた期間であるとされています。
判例によれば試用期間は基本的に「解約権留保付労働契約」が成立していると解されていて、採用した者が能力や適性が無いと判断した場合には、試用期間終了時などに企業が保留していた解約権の行使ができるというものです。
ただし、この解約は法的には労働契約の解約、つまり解雇に当たります。
労基法では「試の使用期間」は雇い入れ後14日以内の解雇であれば解雇予告は適用されませんが、15日以上たっていれば解雇予告も必要になります。
合意があれば有期雇用契約もできる
採用の際、試用期間とせず、有期雇用契約を結ぶことは問題無いのでしょうか。
労働契約は使用者と労働者の合意の上で成り立つと言う原則からすれば、労使の合意があれば良いことになります。
ただし、有期雇用契約は、契約期間の途中での解約はやむを得ない場合に限られています。
期間の定めの無い契約解除よりも厳しい条件があるとされています。
更新の可能性を含む有期雇用契約を中途解約することは雇止めとして、解雇と同様の理由が求められます。
試用期間の性格を持つ有期雇用契約は
判例によると有期雇用契約が従業員の能力や適格性を評価・判断する目的で設けられた場合は、期間の満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立していない限り、その期間が試用期間の性質を持つとされています。
つまり形式的には有期雇用契約を結んでいても、法的にみると期間の定めの無い契約を結んでいて、それは試用期間とみなされると言うことです。
実務的には試用期間を有期雇用契約とするならば、応募者には試用期間は有期契約とする旨は労働条件として示さなければなりません。
採用予定者となった時も十分な説明をしておくことが必要でしょう。