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マイナンバー普及のアメとムチ   

マイナンバーと支払調書

マイナンバーの制度は、民から官に向かって提出される支払調書や申告書・申請書などに個人番号を記すことを予定するものです。

その中で想定される最多のものは預金口座に係る支払調書です。

日本銀行の統計による2012年度末の個人預金口座数は、郵貯・信組・農協を除き、国内銀行7.8億、信用金庫1.3億です。

証券会社の個人顧客口座数は、証券業協会統計によると、2000万です。


利子に係る支払調書の現行法規

利子についての支払調書は、所得税法では例外なく提出するものとされていますが、租税特別措置法で、利子の受領者が個人である場合には支払調書提出の規定の不適用を定めています。

これは、利子所得の課税が源泉徴収のみで完結する源泉分離課税となっていることによるものです。

法人については、不適用対象外ですので、金融機関からの支払調書の提出はなされています。

なお、施行規則では、非課税利子所得に係るもの、一人当たり年3万円以下、一口座当たり年5000円以下、1年超では1万円以下のものを少額不追求の趣旨で提出不要としています。

マイナンバーと預金口座

かつて、預金口座に個人番号を付す法律が成立したことがありますが、施行前に廃止されました。

グリーンカード制度のことです。

今次のマイナンバー制度も原則としてはグリーンカード制度と同じ趣旨を有してはいますが、実際には、その口座数の多さからして、全ての預金口座にマイナンバーを付すのは無理なことです。


インセンティブとマイナンバー

今後は、新規の預金口座開設や、新規の公社債等の取引では、マイナンバーの提供が条件となることはありえます。

特に、株式等の譲渡損失と配当との損益通算の現行制度の延長として、平成28年から、特定公社債等の譲渡損益と利子がこれに含められることになっているところ、マイナンバーの導入により、損益通算の対象がもっと幅広くなるとともに、他方で「マイナンバーの付されたものに限定する」ということに法改正されていくのではないかと思われます。