美術品に係る減価償却資産の判定
これまで、絵画や書画などの美術品は、原則として減価償却資産としては扱われませんでした。
現行の法人税基本通達では、次のように取り扱われています。
(書画骨とう等)
書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。
① 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
② 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
つまり、「書画骨とう等であることが明らかでないもので、20万円未満のもの」以外は、減価償却はできませんでした。
今回の改正で、この通達が次のように改正されます。
(美術品等についての減価償却資産の判定)
「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされているが、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。
① 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
② ①以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く)
(注)1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く)として法人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。
(注)2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く)は減価償却資産と取り扱う。
まとめると、「価値が減少しないことが明らかなものを除いて、1点100万円未満であるもの」が、減価償却資産として取り扱われることになります。
この改正は、法人が平成27年1月1日以後に開始する事業年度、個人の場合には平成27年分以後の年分において、それぞれが有する美術品等について適用することになります。
現状、非減価償却資産として計上している美術品等について、改正後の通達に従って判定した結果、減価償却資産に該当する場合には、それぞれ適用される年度あるいは年分から減価償却資産として償却することが認められることになります。
美術品等で資産計上されているものがある場合には、確認してみましょう。