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メール調査と通信の秘密   

税務調査での「メール調査」

税務調査において、コンピューター内の各種データや電子メールを見せるように求められるケースが多くなっているようです。

どの会社でも、メールにはかなりの情報が詰まっており、メール調査を足がかりとして申告書面では伺い知れない会社の本音を垣間見ることができ、多くの場合で、否認の端緒や根拠を見つけることになっているようです。


「メール調査」を要求する根拠

税務署員の質問検査権として、事業に関する帳簿書類その他の物件の検査、提示、提出を求める権限があります。

電子メールはここでいう「書類」ではありません。

上記の「帳簿書類その他」の文言を拡大解釈して、対象に含めようとすることは、法律の正当な解釈とはいえません。

電子帳簿保存法を根拠として、帳簿書類を作成しない場合には、コンピューターの画面にて電磁的記録の状態の「帳簿書類」を調査担当者が確認し得る状態にして開示する必要がありますが、それだけで十分です。

電子帳簿保存法の適用を受けていて、電子メールで受注・発注・業務指示・業務報告を常態としている場合であっても、電子メール内のすべての情報の画面開示を要求することはできません。


憲法21条「通信の秘密」

明治憲法でも保護されていましたが、現憲法では一段と明確に、「通信の秘密」が保護されています。

国民の通信に対する公権力の監視、干渉からの自由は基本的人権の一つです。

この憲法の規定を承けて、刑法、郵便法、信書便法に信書開封・信書隠匿に対して、「秘密を侵す罪」として懲役刑と罰金刑が規定されています。

この自由権はプライバシーの保護のためのものです。

会社にしても、個々の従業員にしても、プライバシーもあれば秘密にしたいこともあるのが普通です。

通信の秘密の対象には、文書としての信書のほか、電話・電子メールなど全ての通信媒体によるものが含まれ、保護の対象は、通信内容だけでなく、通信日時、発信人・受信人の氏名・住所など、内容を察知させる可能性のある外形的事実にも及びます。

税務調査において、無断で、電子メールの内容を覗き見ることは、明確な「通信の秘密」の侵害です。

許されるのは、憲法35条の令状主義の要件を満たした犯罪捜査の時だけです。