遺言の方式
平成27年1月1日以後に開始する相続から相続税の基礎控除が縮小されることに伴い、相続税対策が注目されてきています。
今回は遺言について解説をしたいと思います。
遺言とは「自らの死後の法律関係を定める最終の意思表示」です。
遺言に法的効果が生じるためには民法が定める一定の方式に従わなければなりません(民法960条)。
民法が定める方式は、まず大きく①普通方式遺言と、②特別方式遺言に分類されます。
②特別方式遺言は、危急時遺言と隔絶地遺言という普通方式遺言ができない緊急事態を想定した遺言方式ですので今回は解説を割愛します。
①の普通方式遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があります(民法967条)。
自筆証書遺言(民法968条)
・内容、日付、氏名を自筆で記入し、捺印をする。
・ワープロ不可。
・封筒に入れて封をするか否かは自由。
・自筆証書遺言を発見したら家庭裁判所で検認が必要になる。
・いつでも加筆修正、作り直しが可能。
・内容を明確に書かないと法的効果が生じない場合あり。
公正証書遺言(民法969条)
・公証人役場にて証人2名立会の下で公証人に口授して遺言を作成してもらう。
・公証人を通すので内容が明確になる。
・死後に家庭裁判所の検認が不要。
・遺言者が入院している場合等は公証人が病院等に出向いてくれる。
・公証役場にも遺言書が保管されるので紛失の心配がない。
秘密証書遺言(民法970条)
・遺言者が遺言書に署名捺印をする(ワープロ可)。
・遺言者が封書に入れて封印をする。
・公証人及び証人2名に対して自己の遺言書である旨を述べて、公証人はその旨を封書に記載し、遺言者と証人と共に署名押印をする。
・秘密証書遺言を発見したら家庭裁判所の検認が必要になる。
・内容を明確に書かないと法的効果が生じない場合あり。
上記3つを比較すると、内容の担保と変造や紛失を防止するためにも、公正証書遺言が一番確実だと思います(公証役場で一定の費用が掛かります)。
相続対策や遺言の内容や方式について分からないことがあれば何なりとご相談ください。