売電所得と消費税
売電収入と所得の分類
会社員が自宅に太陽光発電設備を設置し固定価格買取制度に基づき売電する場合の所得は通常、雑所得に該当します。ただし、売電のみで雑所得が20万円を超えることは極めて稀なので、他に給与以外の所得がなければ一般的には確定申告不要です。
なお、不動産賃貸用のアパートに設置した場合や、自営業者で自宅兼店舗として利用している建物に設置した場合などでは、不動産所得や事業所得に分類されます。
売電収入と消費税の課税・非課税
所得税で申告不要なケースでは、売電収入の総額が1000万円を超えることはありえないので、消費税においても申告を要することにはなりませんが、売電行為は反復、継続、独立して行われるものなので、消費税法上の「事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に該当するのか、否か、ちょっと考えてみたいと思います。
会社員の余剰電力売却のケース
会社員が生活用として設置した太陽光発電設備から生じた電気のうち、使い切れずに余った場合の余剰電力を電力会社に売却したものは、消費者が生活用資産(非事業用資産)の譲渡を行っていることに該当するものなので、消費税法上の「事業」としての資産の譲渡には該当しません。
従って、事業者ではない者が行う余剰電力の売却は、金額がいくら嵩んでも課税対象となりません。
また、設備投資にかかる消費税の還付を受けるためにとして課税事業者を選択する手続をしても、もともと事業者ではないで、効果のない手続きとなります。
会社員の全量売電のケース
ところで、会社員が自宅で行う太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却することが可能とされています(全量売電)。
会社員が行うこの全量売電は、電力会社との間で太陽光発電設備により発電した電気の全量を売却する旨の契約を締結し、その発電した電気を生活の用に供することなく数年間にわたって電力会社に売却するものであることから、会社員が反復、継続、独立して行う取引に該当し、課税の対象となります。