離婚について(その7)
今回は離婚に際して当事者間で決めおく事項のうち⑤慰謝料について解説します。
離婚の場合の慰謝料とは、相手方の有責行為により被った精神的損害に対する賠償金のことです。
相手方の有責行為として代表的なのは不貞行為や暴力行為です。
有責行為者が素直に認めて慰謝料を支払ってくれればよいのですが、離婚に際しては中々事実を認めず支払を拒むことが多いでしょう。
協議がまとまらない場合には、請求する側が調停や訴訟において、当該違法な有責行為によって精神的苦痛等の損害が発生し婚姻関係が破綻に至った事実を主張立証しなければなりません。
不貞行為の事実等は客観的な証拠によって立証します。
不貞行為の多くの場合は興信所の素行調査による証拠収集が確実ですが、ホテルの領収書や不倫相手とのメール等を証拠として不倫相手との宿泊(不貞行為)の事実を立証することもあります。
暴力行為の場合には医師による診断書や被害部位の写真等が証拠になり得ます。
いずれも、有責行為の期間や回数、程度によって慰謝料の金額が増減します。
精神的損害である慰謝料は個別具体的なものであり相場には馴染まないのですが、一定の相場はあります。
不貞行為の場合には一般に100万円~300万円が相場だと考えられます。
慰謝料の金額は①有責性、②婚姻期間、③相手の資力を要素として個別具体的に認定されます。
なお、不貞行為の場合には有責配偶者だけでなく、不貞行為の相手(不倫相手)にも慰謝料請求が可能です(ただし二重取りはできません)。