離婚について(その1)
厚生労働省の平成21年の統計によると、平成20年までの数年間は年間離婚件数が25万件前後を推移しており、年間の離婚件数の婚姻件数に占める割合は3組に1組が離婚する率であると言われています。
そこで、今回は身近な法律問題である離婚について制度の概観を解説したいと思います。
離婚とは、婚姻関係を将来に向かって解消することをいいます。
離婚の形態には、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚があります。
①協議離婚(民法763条)
協議離婚とは、当事者双方の合意(離婚意思の合致)で成立する離婚です。
第三者が介入しない簡便な手続(離婚届を提出するだけ)であることから、離婚の多くは協議離婚の形態です。
とは言っても、協議離婚に際して、子の養育費や財産分与など当事者間で決めて置いた方がよい事項が多々あります。
未成年の子がいる場合には、最低限、親権者の指定をしなければ離婚届は受理されません。
②調停離婚
離婚について当事者双方で合意に至らなかった場合、離婚を望む当事者は家庭裁判所の調停(離婚調停)を申立てます。
離婚調停では、調停委員という第三者が双方の話しを聞いて、話し合いによる解決が図られます。
いきなり離婚訴訟を提起することはできず、まずは調停を申立てなければなりません(調停前置主義)。
③審判離婚
離婚調停が不成立の場合に家庭裁判所が相当と認めるときに職権で離婚審判がなされます(家事事件手続法284条1項)。
④裁判離婚
調停や審判で離婚に至らなかった場合には、離婚を望む当事者は、訴えを提起して裁判にて離婚を請求することになります。
ただし、裁判離婚の離婚原因は民法770条1項で法定されています。
①不貞行為(同1号)
②悪意の遺棄(同2号)
③3年以上の生死不明(同3号)
④回復の見込みのない精神病(同4号)
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由(同5号)
が原因として必要です。
単なる性格の不一致や価値観の違いを理由とする離婚請求は認められません。
以上のように離婚の形態には4種類あります。
次回以降、離婚について更に詳しく解説します。