弁護士と税理士業務
表題
弁護士と税理士業務
弁護士は税理士業務をすることができます。
税理士業務とは税務代理、税務書類の作成及び税務相談の事務のことをいいます(税理士法2条1項)。
弁護士法3条2項は「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と定めています。
この条文からは特に何の手続もしなくとも、「当然」に税理士業務ができるように読めます。
しかし、税理士法では弁護士が税理士業務をするに際しては2通りの方法があり、それぞれ一定の手続を経なければならないことが規定されています。
①税理士登録をする方法
弁護士は税理士となる資格を有する者として規定されています(税理士法3条1項)。
そこで、税理士試験合格者と同じように税理士会に登録をして「税理士」として税務業務をすることができます(税理士法18条以下)。
税理士登録をするのですから、「税理士」と名乗ることができます(税理士法53条1項)。
ただし、税理士会に入会する際の入会金と毎月の会費を支払わなくてはなりません。
②国税局長に通知する方法
弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができると規定されています(税理士法51条1項)。
国税局長の許可は必要でなく一方的な通知で税理士業務が可能になることから、弁護士法3条2項を受けた規定であると言えます。
この方法では税理士会に登録しないので税理士会費を支払わなくても税理士業務をすることができます。
ただし、「税理士」と名乗ることはできず、「通知弁護士」又は「通知税理士」と名乗ります。
税理士業務を行う地域ごとに管轄の国税局長に通知しなければなりません。
例えば、東京で税理士業務を行うならば東京国税国長に通知を、埼玉で税理士業務を行うならば関東信越国税局長に通知をしなければなりません。
税理士業務は入力作業等でマンパワーがある程度必要な業務であることから、弁護士業務の傍らで本格的な税理士業務を行っている弁護士はほとんどどいないと思われます。
私も弁護士として国税局長に税理士業務開始通知をしていますが、純粋に税理士業務を行うためというよりは、税務上の不服申立手続(異議申立て及び審査請求)の代理人をする際に必要であるということが大きな理由です。