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小規模事業者保護と現金主義   

税法の原則・債権債務確定主義とその例外

所得税法では、年末までに現実に金銭等を受領していなくとも、「収入すべき権利」が確定していれば、その年の収入金額に計上することになっています。

従って、実際の金銭等の授受の有無、また、代金の請求の有無とは関係ありません。

しかし、この原則の例外もあります。

償却費等以外については、実際の現金収支の収益と費用だけで所得計算することも認められています。

これが現金主義です。


現金主義の適用と適用外との境界線

現金主義の選択適用者にとっては、ただ現金預金収支のみを管理していればよいので、売掛金や買掛金などを考える必要がありません。

ただ、現金主義を選択する直前年末の売掛金、買掛金、未収収益、前受収益、前払費用、未払費用その他これらに類する資産及び負債並びに棚卸資産、それに各種引当金や準備金の額については、記録を保存しておく必要があります。

その後、現金主義の不適用者となったとき、上記の売掛金等の額と、その不適用最初の年の初日1月1日における同じ売掛金等の額との間に差額がある場合は、その差額はその不適用最初の年の不動産所得や事業所得の金額の計算上、それぞれ総収入金額又は必要経費に算入します。現金主義期間をまたいだ 残高洗い替え方式です。

消費税にもある現金主義

所得税法の現金主義選択適用者は消費税法でも現金主義者になれます。

ところが、消費税法では、現金主義の期間においては、ただ現金預金収支のみを管理していればよい、ということになっていません。

所得税法では、現金主義は小規模事業者への保護規定として、現金主義者に対して寛容ですが、消費税法では、原理主義的不寛容が露わで、現金主義期間の非正規処理を後の現金主義不適用期間に持ち込むことを禁じます。

先の売掛金等の残高洗い替えは、現金主義期間の末日に済ませよと命じています。


現金主義の適用該当者

専従者給与等の適用前の前々年所得が300万円以下で青色申告者であることが選択適用の要件です。

非適用は要件不充足によるものと選択放棄によるものがあります。

所得税で現金主義者でも、消費税ではそれを選択しないことができます。