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犯罪成立の構造   

いきなり物騒な話で申し訳ございませんが、人を殺したら殺人罪に問われるということは誰でもご存じだと思います。

でも、厳密には人を殺しただけでは殺人罪は成立しません。

犯罪とは「構成要件に該当する違法有責な行為である」と通説では定義されます。

・構成要件に該当する行為であること。

・違法性を有する行為であること。(違法性阻却事由がないこと)

・責任能力のある者による行為であること。(責任阻却事由がないこと)

この3つを全て満たして初めて、犯罪が成立します。

構成要件とは、刑法を中心とする刑罰法規にて類型化されている一定の犯罪行為の型です。

殺人罪で例えると、刑法199条は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と定めています。

行為は「人を殺した」です。

より具体的には、人を殺そうとする「実行行為」と、人の死亡「結果」と、実行行為と結果との間の「因果関係」が必要になります。

刑法38条1項で故意犯処罰の原則の規定があることから、過失により人を殺してしまった場合を除き、故意に(わざと)人を殺した場合に限られます(主観的要件)。

違法性とは、その実質について学者間で様々な議論がありますが、ここでは簡単に、「その行為が法に違反すること」としておきます。

構成要件に該当する行為は原則として違法性を有します。

しかし、例えば、正当行為(刑法35条)や正当防衛(刑法36条1項)や緊急避難(刑法37条1項)は違法性阻却事由です。

死刑囚を死刑に処する行為は、殺人罪の構成要件に該当しますが、法律で認められている合法的な行為(正当行為)なので、犯罪は成立しません。

責任能力とは、一般的に「行為の違法性を弁識し、それに従って自己の行為を制御する能力」のことをいいます。

刑法では14歳未満の者は責任無能力者として扱い刑事責任を問われません(刑法41条)。

また、心神喪失者(刑法39条1項)も責任能力がありません。

飲酒による病的酩酊状態は原則として心神喪失に該当しますが、単なる酩酊状態は通常は責任能力を有すると判断されます。

以上のように、犯罪が成立するには構成要件・違法性・有責性という構造的な要件を満たす必要があります。

報道等で、~罪で有罪判決という見出しがある場合には、構成要件・違法性・有責性という要件を全て満たしたということです。