相続税 葬式費用の控除
遺産の相続を受けた場合、遺産が基礎控除以下の場合には、相続税の申告は必要ありませんが、遺産が基礎控除を超える場合には、相続税の申告が必要になります。
平成25年度税制改正で、この基礎控除が6割に縮小されることが決まりました。
現行:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
改正後:3,000万円+600万円×法定相続人の数
平成27年1月1日以後の相続から適用になります。
現状、相続税の申告割合は4%程度となっていますが、この改正により、6%程度に上昇する見込です。
特に、首都圏では影響が大きく、相続税の課税対象者が倍増するのでは、とも言われています。
相続税において控除できるマイナスの財産には、借入金や未払金といった故人の債務のほかに、「葬式費用」も含まれています。
葬式費用は、相続開始に伴う必然的な費用であることから、控除することが認められています。
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常次のようなものです。
①死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
②遺体や遺骨の回送にかかった費用
③葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
④葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
⑤葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
一方、次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。
①香典返しのためにかかった費用
②墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
③初七日や法事などのためにかかった費用
墓石や墓地の購入費用については、被相続人が生存中に購入したにもかかわらず、代金が未払いである場合には、その未払金は債務にはならず、債務控除することはできないので注意が必要です。
墓石や墓地は、課税される相続財産から除外されるため、財産と債務の整合性を図っての取扱いとなっています。
控除額は、特に上限が決まっているわけではありません。
被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用であれば、控除の対象となります。