債権回収の手段
友人に貸したお金が返ってこない場合や取引先が商品の代金を支払ってくれない場合など、債権の回収が滞った場合、回収のためにどのような手段が考えられるでしょうか。
●交渉
まずは支払いをしてくれるように粘り強く交渉することが考えられます。
債務者の中には催促を受けないと真面目に支払ってくれない方もいます。
支払いを催促することで弁済してくれるかもしれません。
ただし、債務者も無い袖は振れないことから、場合によっては債務者の支払能力を考慮して一括ではなく分割の支払に応じることが必要になることもあるでしょう。
●内容証明郵便
当事者間の交渉が進展しない場合には、配達証明付きの内容証明郵便にて督促状を送付することにより支払いを促すことも手段として有効です。
債権者の強い意思を明確に債務者に伝えることができます。
配達証明を付けることによって債務者に配達されたことが証明でき、さらに督促状の内容も証明できるので、将来的に裁判になった場合に債務者に督促した事実を証明する証拠になります。
債権者本人が送付することができるのは勿論のこと、弁護士が文書を作成し代理人として送付することも可能です。
●支払督促
債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てて、裁判所から債務者に支払督促を発付してもらいます。
裁判所に納付する手数料は訴訟提起をする場合の半額で済みます。
支払督促のメリットは簡易に債務名義(確定判決など債務者の財産に対して強制執行が可能であることを証する文書)が得られることです。
ただし、債務者から支払督促に異議が出されると、通常の民事訴訟に自動的に移行します。
この債務者の異議には理由を付さなくてもよいことから、支払いを拒む債務者は容易に民事訴訟に移行させることが可能です。
民事訴訟に移行する可能性が高い場合には移行に伴うコスト(時間的、経済的)を考慮して支払督促を申し立てる必要があります。
●訴訟
どうしても債務者が頑なに支払いを拒む場合には最終的に民事訴訟を提起せざるを得なくなるでしょう。
債務者が支払いを拒む理由の根拠となる事実を主張するなどして債権者からの請求を争った場合には、訴訟提起から判決まで相当な時間が掛かります。
勝訴判決を得れば、強制執行によって債権の回収を図ることができます。
ただし、債務者に債務を弁済するだけの資力(財産)がない場合には、勝訴判決をもらっても絵に描いた餅に過ぎません(強制執行をする対象の財産が無いからです)。
以上は代表的な債権回収の手段ですが、時間と労力と費用を考慮して、適切な手段を用いて債権回収を図らなければなりません。
また、債権の消滅時効にも注意が必要です(原則10年、民法167条1項)。
未回収の債権の扱いについてお困りでしたら弁護士である当職にご相談ください。
適切な手段の選択をご提案致します。