会社の解散と第二次納税義務
納税義務とは、納税義務者が国又は地方公共団体に対して租税と呼ばれる金銭給付をなすべき債務をいいます。
当然のことながら、株式会社であれば当該株式会社が、個人であれば当該個人が、それぞれ法人税と所得税の納税義務者になります。
第二次納税義務とは、本来の納税者の財産について滞納処分を執行しても徴収すべき国税に不足すると認められる場合に限り、その者と一定の関係がある者に対し、二次的に納税義務を負わせようとする制度です(国税徴収法32条以下)。
第二次納税義務者には、合名会社や合資会社の無限責任社員、解散した法人の清算人等、同族会社、財産等の名義人、共同事業者、事業を譲り受けた特殊関係者、無償又は著しい定額の譲受人等、人格のない社団等がありますが、今回は「解散した法人の清算人等」(国税徴収法34条)について解説します。
法人が消滅する場合には、通常は、①解散、②残余財産の分配、③清算結了という流れを辿ります。
清算が結了して登記が完了すれば、法律上、原則として当該法人は消滅したことになります。
しかし、滞納税額があるまま清算結了したような場合には、たとえ清算結了登記が済んでいたとしても法律上は清算の目的の範囲内においてなお存続し、法人格は消滅していないものと扱われます(国税不服審判所平成22年12月16日裁決)。
このような場合には当該法人に課税処分をしても、清算人により残余財産が分配された後ですから、滞納税額を徴収することはできません。
そこで、滞納税額の徴収を図るため、当該残余財産を分配した清算人と分配を受けた者は、第二次納税義務者として、当該法人が負担すべき滞納税額について納税義務を負うことになるのです(納税義務の拡張)。
法人が解散し、滞納税額があるにも関わらず残余財産の分配をすると、清算人等が第二次納税義務を負うことになるので注意が必要です。
債務超過の法人を消滅させる手続には、特別清算及び破産申立てがあります。
倒産手続きは税金の申告等にも密接に影響するため、適切な手続の選択と処理を専門家(弁護士・税理士)に相談して進めましょう。
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