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推計課税   


今回は、皆様にあまり馴染みのないであろう「推計課税」について解説します。

1 推計課税の意義

推計課税とは、所得税又は法人税について更正又は決定する場合に、直接資料に拠らずに、各種の間接的な資料を用いて課税庁が所得を認定する方法をいいます(所得税法156条、法人税法131条)。


2 推計課税の根拠

原則として直接資料から所得の実額を把握すべきであることは言うまでもありませんが、納税者から直接資料が入手できないからといって課税庁が課税を放棄することは租税の公平負担の観点から妥当ではありません。

そこで推計課税が認められることになります。

3 推計課税の必要生

推計課税はあくまでも直接資料が入手できない場合の例外的な課税手段であることから、推計課税を行うためにその必要性が認められなければなりません。

具体的には

①帳簿書類等に不備があるため、収支状況を直接資料によって明らかにすることができない場合

②帳簿書類等の内容が不正確で信頼性に乏しい場合

③調査に協力的でないため、直接資料が入手できない場合

以上のいずれかに該当する場合には推計課税の必要性が認められると解されています。


4 実額反証

実額反証とは、実額を把握できないためやむを得ずなされた推計課税に対し、審査請求または訴訟の段階になって、納税者から推計により算定された所得金額は帳簿書類等の直接資料に基づく実額に比べて過大であるとして、その推計課税の違法性を主張することをいいます。

納税者が非協力的だからこそ行われた推計課税にもかかわらず、争いになった段階で納税者が実額反証することができるかが問題となりますが、事後的な実額反証であっても真実の所得が認定されるのであれば実額反証は認められると解されています。

ただし、実額反証によって推計課税の違法性を主張できるのは、推計による所得金額が実額を著しく超えることが一見明白であること、すなわち合理的疑いを容れない程度に証明されることが必要とされています(大阪高裁昭和62年9月30日判決)。