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当たり馬券の税金   

所得税の計算は、所得を10種類に区分、そして、それぞれの所得の担税力を勘案し、一部複雑な規定もありますが、原則(利子所得を除く)、収入金額からその収入を得るために支出した経費を差引いて所得の金額(儲け)を計算、それに税率、最高でも40%を乗じて所得税の税額を求めます。

したがって、基本的には「儲けを上回る税金」などはあり得ません。

しかし、現実に起きた事件があります。


ハズレ馬券の購入代金も経費か                     

会社員がインターネットで馬券を3年間で計約28億7千万円分を大量購入し、約30億円余りの払戻しで差引約1億4千万の所得(儲け)を得ました。

しかし、国税局はこの馬券の所得を一時所得と判断、必要経費と認めたのは当たり馬券だけでした。

その結果、当たり馬券の購入費は1億3千万円、これから払戻し金30億円を差引くと所得金額は約29億円弱、一時所得ですから、ざっくり所得金額29億円の2分の1の14億5千万円が課税標準となり、所得税の額は約5億7千万になったということです。

この事件では、国税局は約5億7千万円の脱税事件として所得税法違反で会社員を地検に告発ました。

以上が事件の概要です。

税法規定の想定を超えた

一時所得は、

①一時の所得であること

②営利性と継続性がないこと

③労務や資産の譲渡の対価の性質を有しないこと

などが要件です。

そして、収入を得るために支出した金額、すなわち経費ですが、その経費は、「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る」となっています。

国税局は、「馬券で得たような射幸的行為による所得は、たとえ反復継続的であっても営利性はない」とし、また会社員であることから、当該所得を一時所得と認定、経費については、収入との直接対応を適用して計算したものと思われます。

しかし、大量の馬券の購入は、1億4千万円の儲けの源泉であり、この業績は、まさに命がけの勝負の結晶です。

射幸的といえば、株式の売買も同じようなものです。

また、この大量馬券の購入による所得は、現行の一時所得の計算規定の想定を超えたものでしょう。

会社員は、この処分に反論しているとのことです。