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通達とは   

職員A「~さん、この税務処理について通達を確認してみましたか?」

職員B「はい。法人税基本通達で確認しましたが大丈夫でした。」

このように会計事務所職員同士の会話では「通達」が頻繁に登場します。

通達とは何でしょうか?法律でしょうか?

いえ違います。

通達とは

主に行政機関内部において、上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づきその機関の所掌事務について示達するため発翰する一般的定めのことをいいます。

簡単に言うと「行政内部の取扱いを統一するための内部規定」です。

ではなぜ税務の現場では課税庁(国税局や税務署など)の内部規定に過ぎない通達を重視するのでしょうか。

それは、通達が法令の解釈指針となっているからです。

課税庁は「このような場合にはこのように取り扱いますよ」と通達を公開し、納税者は課税庁の考え方(通達)に沿って申告納税しておけば安心ということなのです。

ここで通達と租税法律主義の関係について見てみましょう。

国税の課税根拠はすべて国会の制定する法律によらなければなりません(憲法84条、租税法律主義)。

しかしながら、法律を制定する際に具体的なあらゆる場面を想定して制定することは困難であるし、細かな改正の都度、国会の議決を経なければならないとすると、経済情勢の変化に機敏に対応することができません。

したがって、実際には、法律では抽象的な規定を置くに留めておき、具体的な細目は政令(内閣が制定する命令、租税法では「施行令」)や省令(各省大臣が制定する命令、租税法では「施行規則」)に規定されることが多いです。

政令や省令は、法律の委任によって定められていることから、法律の根拠があると言えるので、課税根拠を政令や省令に求めても租税法律主義に反するものではありません。

しかし、通達はあくまでも課税庁の内部規定に過ぎませんので、通達を根拠に課税することはできません。

よって、税務調査の際などに、調査官が「通達ではこのように規定されていますから、このように処理してください」などと指導することは租税法律主義に反する行政指導です。

とはいえ、具体的な税務処理の指針は、通達に細かく規定されているため、税務処理に困ったらまずは通達を確認するという姿勢は分からないではありません。

しかし、通達に規定されているから致し方ないと諦めるのではなく、その通達は法律の正しい解釈をしているか否か、その事例は通達が適用される場面か否か、という検証は納税者側でも必要だと思います。

そのお手伝いは我々職業専門家(税理士、弁護士)にお任せください。