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相続があった場合の消費税確定申告   

被相続人が課税事業者であった場合、消費税の申告義務は、被相続人はもちろん、その事業を承継した相続人も負います。

(1)被相続人の消費税の申告期限
 被相続人の相続開始日の年の前々年(このことを「基準期間」と言います)の課税期間の課税売上高(このことを「課税資産の譲渡等」と言います)が1,000万円を超えている場合、あるいは、課税事業者の選択届出書を提出していた場合、被相続人は、その課税期間の開始日から相続開始日までの課税売上高につき消費税の申告義務を負います(還付申告もあります)。
この被相続人の消費税の申告期限は、翌年3月末ではなく、その相続開始日の翌日から4ヶ月以内となっています。

(2)事業を承継した相続人の申告手続き
 一方、被相続人の基準期間の課税売上が1,000万円超えている事業を承継した相続人は、相続開始日の翌日からその課税期間末日までの課税売上高につき消費税の納税義務を負います。
 しかし、被相続人が「選択」した簡易課税の地位及び課税事業者の地位は、相続人に承継されません。
したがって、相続人が簡易課税及び課税事業者を選択するのであれば、その課税期間末日までに、相続人自らその届出書を提出しなければなりません。
 なお、相続開始の翌日から課税期間末日まで1ヶ月程度しかない場合には、「やむを得ない事情」があるとして、届出書の提出期限が弾力的に運用されています。

(3)「事業を承継したとき」の意義
「被相続人の事業を承継したとき」の意義として、「相続(包括遺贈も含む)による事業継続の財産の承継」と解されています。
 しかし、特定遺贈(被相続人の特定の財産を遺言にて相続人に相続、相続人以外の者に遺贈させること)などにより、受遺者(相続人)が遺贈者(被相続人)の事業を承継したときは、この「被相続人の事業を承継したとき」の「承継」には該当しないこととされています。
 したがって、特定遺贈のような場合には、受遺者(通常「相続人」)のその課税期間に係る基準期間における課税売上高のみによって課税事業者の有無を判定すればよいことになります。
なお、事業が承継されていない(遺産分割協議が不成立な場合など)ときは、相続人の納税義務の有無は、被相続人の基準期間の課税売上高を法定相続分で按分した額により判定します。