年金・給与の所得税計算
年金の場合
昨年は、過去遡及分を平成19年分の年金等の源泉徴収票に含めていたという事件がありましたが、過去の各年分の正しい源泉徴収票を再発行し直す、ということで一件落着しました。
過去年金が遡及一括支給された場合は、それらを分解し、本来支払われるべきであった各年の年金所得の増加とすることになっているからです。
給与の場合
2008年1月28日、東京地裁が、ハンバーガーチェーンの店長は労働基準法の管理監督者に該当しないとして、未払残業代を認める判決を下し、同じように店長を管理職としてきたチェーンストア業界を震撼させました。
マスコミが、店長などの管理監督者の肩書が与えられているものの、実質的に十分な権限や相応の待遇を受けていない、いわゆる“名ばかり管理職”者問題を大々的にとりあげたため、世間の耳目を集めるところともなりました。
給与の場合も過去の年分
過去の年分の残業代が遡って店長等に支給された場合、税務上は年金の遡及支払いと同じく、本来支払われるべきであった年分の給与所得となります。
遡及分支払いに際しては、各年分の年末調整のやり直しとして税額の再計算がされ、修正後の源泉徴収票が再発行されます。
そして、これらに対応する個人住民税もあとから追徴されることになります。
支給時年分となる場合
上記に挙げた1月の判決以後、厚生労働省が「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」という通達を出していることもあり、同種の判決が堰を切ったように続いており、裁判所の斡旋による解決一時金で和解するケースも増えています。
解決一時金の場合で、
①各年分の残業代の精算というよりも過去の残業代の清算の意味を込めた和解金として支払われるもの
②店長給与規定の改訂の遡及適用で残業手当の差額が一括支給されるもの
は過去遡及年分の給与ではなく、和解した年分や給与規定改訂年分やの給与となります。