端数処理の定め
基本法がある
税金や社会保険料などの計算をするときの端数処理については、「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」という基本法があります。
「1円未満は切り捨て」との定めを置いています。
そして、他の法律に優先する法規である旨を唱っています。
税金は国税通則法でさらに詳しく
1円未満切り捨ての後の金額について、国税通則法にはさらに、国税納付額の100円未満端数、又は全額が100円未満(延滞税は1000円未満、加算税は5000円未満)の時の全額を切り捨てる、との原則、課税標準(税率を乗ずる前の金額)については1000円未満端数、又は全額が1000円未満(附帯税は1万円未満)の時の全額を切り捨てる、との原則が定められています。
なお、地方税については国税準拠ですが、地方税法に少し異なる定めもあります。
社会保険の場合は
社会保険は、会社と従業員で負担を折半するので、折半時に端数がよく出ます。
社会保険の「標準報酬月額料額表」をみると1円未満の端数が記載されています。
この折半端数は官民の関係としての国との債権債務ではないので、「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」の範囲外になり切り捨てが強制されません。
こういう場合に適用されるのが「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」です。
これは民民の関係にも適用されます。
この法律は、1円未満を四捨五入と規定しています。
したがって、社会保険料の折半後の負担額に1円未満があった場合は四捨五入によって金額が確定されます。
強硬法規ではない
なお、折半額の端数が0.5円だった場合は、両方で繰り上げとなり、納付額が1円多いことになってしまうので、その時は従業員負担側のみ切り捨てとする、という行政案内が示されています。
これでわかるように、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」は強硬法規ではなく、任意の定めを優先としています。
1円未満はすべて会社負担と特約してもよい、ということです。