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ソフト開発の落とし穴   

経済のグローバル化
ソフト開発は人件費の安い外国でとお考えの企業も多いことと思います。
何も商売だけでなく自社のシステム開発を外国企業に発注することもあろうかと思います。

経理処理と消費税
外国企業へソフト開発を依頼した外注費は、売上と対応する場合は外注費で処理しますが、自社使用の場合は無形資産となります。
当然外国での役務の提供でありますから消費税は不課税取引となり、課税仕入れとはなりません。

著作権はどっち
当社が依頼して作ってもらったソフトであるから、当然著作権も当社にあると考えがちですが、著作権は本来下請であったとしても、その作成者にあります。
そのため、単なる外注契約では著作権は外注先にあることとなります。
ですから著作権の譲渡契約を結んでおかないと、当社の依頼ソフトを勝手に他社に販売されてしまう可能性があります。

源泉所得税は20%
もう一つ注意しなければならないのは支払時です。
外国からの著作権の譲渡には20%(国によっては租税条約で15%~免税まであるが、概ね10%が多い)の源泉所得税の徴収義務が支払者に発生します。
したがって支払時には源泉所得税を控除して支払う必要があります。

これら一連のことを当初の契約時にハッキリさせておかないと後でトラブルの元となりますのでご留意ください。


著作権は通常作成者個人の権利とされております。唯一の例外として著作権法に以下の条文があります。


(職務上作成する著作物の著作者)
第15条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

ですから外注先に依頼したソフトのプログラムは、外注先の従業員が作成した場合には、その外注先の法人に著作権があります。

留意点:上記は国内法であり外国の場合は更に条約が優先します。

=以下所得税法=
(国内源泉所得)
第161条
7  国内において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの
イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価
ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価
ハ 機械、装置その他政令で定める用具の使用料

(源泉徴収義務)
第212条  非居住者に対し国内において第161条第1号の2から第12号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その非居住者が第164条第一1項第4号(国内に恒久的施設を有しない非居住者)に掲げる者である場合には第161条第1号の3から第12号までに掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。)の支払をする者又は外国法人に対し~同様の国内源泉所得(中略)~の支払をする者は、その支払の際、これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
(徴収税額)
第213条  前条第一項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
1  前条第1項に規定する国内源泉所得(次号及び第3号に掲げるものを除く。) その金額(次に掲げる国内源泉所得については、それぞれ次に定める金額)に100分の20の税率を乗じて計算した金額

最良の方法としては、外注先への契約金額を著作権の譲渡部分と、役務の提供部分に分け、著作権の譲渡金額を少額にすることで源泉徴収金額を減少させることができます。

因みに国内の著作権譲渡の取引には源泉徴収義務はありません。