「税理士」と「会計士」
友人、知人との雑談の中でよく聞かれる質問に『「税理士」と「会計士」って何が違うの?』というのがあります。
事業をされている方を除けば、確かに普段の生活にはあまり馴染みの無い職業ですので、どちらも同じものだと解されている方も多いのではないでしょうか。
確かに会計を扱い、税金にかかわる仕事と言う意味では2つの資格はよく似ていると思います。
逆に「弁護士ってどんな仕事?」っていう質問はあまり無いようです。
こちらはテレビドラマなどでよく登場し、颯爽と活躍する場面が印象に残る職業だからでしょうか、うらやましい限りです。たしかに「会計士」・「税理士」が活躍するドラマって無いですね。逆にマルサが悪徳業者を丸裸にする映画は人気を博しましたけど・・・
繰言はさておいて、先ほどのような質問をされた場合には私は以下のようにお答えしています。もちろん「そんなんじゃないよ」って言う、反論もあるかもしれませんが、あくまでも簡略化した私見ということでご容赦ください。
「税理士」は税金を計算する専門家です。中小企業や個人事業の方が主なお客様で、経理のお手伝いをしたり、決算後の税金をお客様に代わって計算したり、税務署へ申告の代理をしたりします。不動産を売買したり、相続したり、贈与したりされたりした時にも、そこには必ずと言っていいほど税金が絡みますので、「税理士」がお手伝いをすることが多いです。
また、税務署がお客様の申告の内容を確認しに来た時には、一緒に立ち会って間に入り、お客様の言い分を申し出たり、選択の基礎となった法律の解釈を説明したりします。
簡単に言ってしまうと、税金や経理に関して、出来ないことを代わりにしてあげるのが、「税理士」の仕事です。
「会計士」は会計の専門家です。正式には「公認会計士」と言います。
お客様は上場しているような大企業で、すでに会計の専門家を雇ってしっかりした経理部門を持った会社がほとんどです。お客様はすでに経理をしっかり出来る人ばかりなので、税務署が見に来ても自分たちで対応できるくらいの能力をすでに持っています。しかし会社の内部で経理と税金の計算が出来てしまうと、不正の温床にもつながり、会社の株主に大きな損害をもたらすことになりかねません。
そのためのチェックマンが「会計士」です。
「会計士」はその経理がきちんと出来ているかを一人ではなく、「監査法人」という「会計士」のチームでチェックします。
そのため「会計士」は、誰よりも深い会計の知識と不正を見逃さない鋭い洞察力を持っています。
また会社が上場する際には、やはり「会計士」が集団で、その会社が上場するための要件を満たしているかを査定したりします。
ただし「会計士」は、「監査法人」という会社に属していて、大企業に対して複数の「会計士」たちによるチームで業務を行うので、表向きは普通のサラリーマンと変わりません。独立開業もできますが、大企業相手に一人でチェック業務をすることも出来ませんので、一人で独立した場合には「税理士」と同じような業務を行います。
こう書くと「税理士」よりも「会計士」のほうがずいぶんと格上のような気がします。
確かに国家資格である二つの試験の難易度も一般的には「会計士」のほうが難しいとされています。
「税理士」「会計士」を目指されている方、仕事を頼もうかなと思っていらっしゃる方、用途に応じて選択をされるといいかなと思います。
ちなみに、私たち「税理士」は今、小・中・高校の生徒たちを対象に「租税教室」を各学校で開催しています。
先日講義に伺った玉川地区の小学校6年生のクラスの中には、「税理士」と言う職業を知っている生徒もいたりして、親御さんがお願いしているのか、おじいちゃん、おばあちゃんが言葉の端に出てくるのか、土地柄なのかもしれませんね。
「税理士」は税金の計算だけでなく「確定申告の無料相談」や「租税教室」などの地域貢献にも重要な役割を担っているのです。